退職を控えていると、「退職給付金って、どうやってもらうの?」という疑問が頭をよぎりますよね。失業手当・傷病手当金・再就職手当…名前は聞いたことがあっても、実際の申請の流れまで把握している方は意外に少ないと思います。
結論からお伝えします。退職給付金は「種類ごとに申請先も必要書類もタイミングもまったく違う」仕組みです。失業手当はハローワーク、傷病手当金は加入していた健康保険、介護休業給付金は会社経由でハローワークと、窓口がバラバラに分かれています。
この記事では、ファイナンシャルプランナー2級・DCプランナー2級・宅建を保有する筆者が、主要5つの給付金の申請フローを「対象者・最低要件・申請窓口・必要書類・申請タイミング・申請期限・振込時期」の7項目で整理しました。さらに、退職1ヶ月前から退職後1ヶ月までの時系列タイムラインと、誰から・いつ・どこに提出するかの必要書類マップもあわせて掲載しています。
2025年4月の雇用保険法改正(給付制限期間の短縮)も正確に反映しています。ご自身の退職理由・状況にあわせて、必要なセクションだけを読み進めてもOKです。焦らず、一つずつ確認していけば大丈夫ですよ。
ナビゲーター退職後の生活は、公的制度で想像以上に支えられています。今日できる小さな一歩から始めましょう!
まず押さえる:退職給付金は「種類ごとに申請フローが違う」

退職給付金は、単一の制度名ではなく、退職前後にもらえる公的なお金の総称です。つまり「退職給付金 申請窓口」と一言でくくれるものではなく、給付金ごとに窓口も書類もタイミングも違うのが実態です。
本記事で解説する主要5つの給付金を、まず一覧で確認しておきましょう。
| 給付金 | 主な対象者 | 申請窓口 | 支給形態 |
| 失業手当(基本手当) | 退職後に就職活動をする人 | ハローワーク | 継続給付(90〜330日/就職困難者は最大360日) |
| 傷病手当金 | 病気・ケガで働けない人 | 協会けんぽ・健保組合 | 継続給付(通算1年6ヶ月) |
| 再就職手当 | 早期に再就職した人 | ハローワーク | 一時金 |
| 高年齢求職者給付金 | 65歳以上で離職した人 | ハローワーク | 一時金 |
| 介護休業給付金 | 家族の介護で休業する人 | 事業主経由でハローワーク | 休業期間に応じて支給 |
窓口は3種類(ハローワーク/健保組合/会社経由)に分かれており、必要書類も給付金ごとに違います。「全部ハローワークでまとめて申請」というイメージは正しくありません。
ナビゲーター給付金ごとに申請フローが違うって、けっこう見落とされがちなんですよね。まずはこの前提だけ頭に入れておいてください。
退職給付金そのものの全体像(5カテゴリの地図)を最初に把握したい方は、ピラー記事をあわせてご覧ください。

「主要10種類の給付金を全体で把握したい」という方は、こちらの一覧記事もどうぞ。

申請フロー①:失業手当(基本手当)のもらい方【2025年4月改正対応】

ここからは給付金別の申請フローに入ります。最初は、退職後に多くの方が利用する失業手当(雇用保険の基本手当)です。退職後にすぐ就職せず、就職活動を行う方が対象になります。該当しない方は、次の傷病手当金セクションへ読み飛ばしてOKです。
対象者と最低要件
失業手当を受け取れるのは、「働く意思と能力があり、すぐに就職できる状態にあるのに、職業に就けない人」です。療養中や、しばらく仕事を休みたい方は対象外になります(その場合は次節の傷病手当金が候補)。
受給に必要な「被保険者期間(雇用保険に入っていた期間)」の最低要件は、退職理由で2パターンに分かれます。
- 一般の離職者(自己都合等):離職日以前2年間に通算12ヶ月以上
- 特定受給資格者・特定理由離職者(倒産・解雇・契約満了等):離職日以前1年間に通算6ヶ月以上
出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
申請窓口
失業手当の申請窓口は、住所地(住民票の住所)を管轄するハローワークです。本人が窓口に行くのが基本ですが、状況によっては代理人または郵送での提出も可能とされています(ハローワークごとに運用が異なるため、事前に電話で確認すると安心です)。
必要書類
初回手続きで必要な書類は次のとおりです。
- 雇用保険被保険者離職票-1/離職票-2(退職した会社から郵送される)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード等)
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
- 写真2枚(最近3ヶ月以内、縦約3cm×横約2.4cm)※ハローワークで最新の規格を確認してください
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑
離職票は、退職した会社が雇用保険の手続きをした後にハローワークから会社経由で発行され、退職後10〜14日ほどで自宅に郵送されるのが一般的です。退職して2週間経っても届かない場合は、まず会社に確認してください。
申請タイミングと7日間の待期期間
離職票が届き次第、できるだけ早めにハローワークで「求職の申込み」と「受給資格の決定」を行ってください。注意すべきは、原則として離職日の翌日から1年以内に受給を開始しないと、所定給付日数が残っていても権利が消滅してしまう点です。
手続きを終えた日から7日間は「待期期間」と呼ばれ、退職理由にかかわらず全員が支給対象外となります。これは失業状態にあるかを確認するための期間です。
【最重要】給付制限期間(2025年4月改正で大きく変わりました)
失業手当でもっとも大きく変わったのが、自己都合退職時の「給付制限期間」です。2025年4月1日以降に離職した方には、新しいルールが適用されています。
| 退職理由 | 給付制限期間 |
| 会社都合・特定受給資格者・特定理由離職者 | なし(7日間の待期のみ) |
| 自己都合(過去5年以内に自己都合退職が2回目以下) | 原則1ヶ月(改正前は2ヶ月) |
| 自己都合(過去5年以内に自己都合退職が3回目以上) | 3ヶ月 |
| 自己都合でも指定の教育訓練を受けた場合 | なし(7日間の待期のみ) |
改正前は自己都合だと「2ヶ月」の給付制限がありましたが、改正後は原則1ヶ月に短縮されました。ただし、5年以内に3回以上の自己都合離職を繰り返した場合は3ヶ月の給付制限となります。出典は厚生労働省の「雇用保険法等の一部を改正する法律」成立資料をご確認ください。
ナビゲーター自己都合でも、2025年4月以降の離職なら給付制限が1ヶ月に短くなりました。退職後の生活への影響が小さくなったのは、大きな前進ですね!
振込までの期間
初回振込までの目安は、退職理由ごとに次のとおりです。
- 会社都合:手続き日から約1ヶ月で初回振込
- 自己都合(過去5年以内に自己都合退職が2回目以下):手続き日から約2ヶ月(改正前は約3ヶ月)
- 自己都合(過去5年以内に自己都合退職が3回目以上):手続き日から約4ヶ月
賃金日額の50〜80%(60〜64歳は45〜80%)が日額として計算され、所定給付日数(一般の離職者は90〜330日/障害者などの就職困難者は最大360日)にわたって支給されます。具体的な日額・給付日数は、年齢・離職理由・被保険者期間で細かく変動するため、ハローワークで確認するのが確実です。
認定日の仕組み(見落としやすいポイント)
失業手当を受け取り続けるには、原則4週間に1回の「失業認定日」にハローワークへ行き、失業状態にあることを認定してもらう必要があります。
ナビゲーター「失業認定日」を軽く見てはいけません。やむを得ない事情なく認定日を欠席すると、その認定期間分の支給が先延ばしになります(給付日数自体は維持されますが、再度の認定が必要になります)。
もし退職金(会社からの一時金)と失業手当の違いが気になる方は、こちらの記事も参考にしてください。

申請フロー②:傷病手当金のもらい方【病気・ケガで退職する人向け】

続いては傷病手当金です。病気やケガで働けない方、または退職後も療養が続く方が対象になります。在職中の制度ですが、条件を満たせば退職後も継続して受給できる仕組みになっています。
対象者と最低要件
傷病手当金は、健康保険の被保険者が、業務外の病気・ケガで働けず、給与の支払いを受けていない場合に支給されます。最低要件は次のとおりです。
- 業務外の病気・ケガで療養していること
- 仕事に就けない状態(労務不能)であること
- 連続する3日間(待期)を含む4日目以降に、給与の支払いがないこと
退職後も継続して受給したい場合は、もう一つ重要な条件があります。
退職日(資格喪失日の前日)までに、継続して1年以上の被保険者期間(任意継続を除く)があり、退職時点で傷病手当金を受給中(または受給条件を満たしている)こと。
「健康保険に1年以上加入していなかった人は、退職後の継続受給はできない」と覚えておきましょう。出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき」
申請窓口
申請窓口は、加入していた健康保険によって異なります。
- 協会けんぽに加入していた方:管轄の協会けんぽ支部
- 健康保険組合に加入していた方:その健保組合
退職後も、退職前に加入していた健康保険にそのまま申請するのがポイントです(国民健康保険に切り替えても、傷病手当金の申請先は元の健保のままです)。
必要書類
必要となるのは、健康保険傷病手当金支給申請書(4枚構成)です。それぞれ記入する人が違います。
① 被保険者記入用:本人が記入(基本情報・振込口座など)
② 被保険者情報記入用:本人が記入(療養期間・労務不能の状況)
③ 事業主記入用:退職した会社が記入(在職中の給与支払い状況)
④ 療養担当者記入用:治療している医師が記入(労務不能と判断した医学的所見)
申請書は、協会けんぽ公式サイトまたは各健保組合のサイトからダウンロードできます。医師の記入は受診時に依頼する必要があり、数日〜1週間ほど時間がかかることが多いので、早めに動くのがコツです。
申請タイミングと期限(時効2年)
傷病手当金は、働けなかった期間が経過した後に申請します。実務上は1ヶ月単位で申請するパターンが一般的です(給与の締め日にあわせるなど、健保ごとに目安があります)。
申請には時効2年があります。労務不能だった日ごとに、その翌日から起算して2年が経過すると請求できなくなります。長期療養になる場合も、忘れずに定期的に申請するようにしましょう。
支給額と支給期間(2022年1月改正で「通算1年6ヶ月」に変更)
支給額の計算式は次のとおりです。
支給開始日以前12ヶ月の各標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3
つまり、標準報酬日額の3分の2相当が日額として支給される仕組みです。なお、平均標準報酬月額の上限は協会けんぽの場合、令和7年3月31日以前の支給開始は30万円、令和7年4月1日以降の支給開始は32万円と、改正時期で異なります。
支給期間は同一の傷病について、支給開始から通算して1年6ヶ月です。
ナビゲーター2022年1月の改正で、それまでの「最長1年6ヶ月」から「通算1年6ヶ月」に変更されました。途中で復職して働いた期間は通算から除外されるので、回復後にまた療養が必要になっても残りの期間で再受給できます。
振込までの期間
申請してから振込まで、2〜4週間程度が一般的です。健保組合によっては、時期により1ヶ月以上かかる場合もあります。
失業手当との併給ルール(見落としやすい)
傷病手当金と失業手当は、同時に受給することができません。失業手当は「働ける状態」が受給条件、傷病手当金は「働けない状態」が条件のため、論理的に両立しないわけです。
そこで重要になるのが、失業手当の「受給期間延長申請」です。療養中で働けない場合、失業手当の受給期間(原則1年)を最大4年まで延長できる制度です。
ナビゲーター傷病手当金から失業手当に切り替える方は、この受給期間延長申請を絶対に忘れないでください。知らずに期限を過ぎて、失業手当の権利を失う方が毎年いらっしゃいます。
申請フロー③:再就職手当のもらい方【早期に再就職した人向け】

失業手当を受給中、または受給開始直後に新しい仕事が決まった方には、再就職手当という”お祝い金”のような給付があります。早期に再就職することで、失業手当の残日数に応じて一時金が支給される仕組みです。
対象者と受給条件
再就職手当の受給には、複数の条件をすべて満たす必要があります。
- 失業手当の所定給付日数の3分の1以上を残して、安定した職業に就くこと
- 7日間の待期期間が経過した後に就職していること
- 離職前の事業主に再雇用されていないこと(関連会社含む)
- 1年を超えて勤務することが確実であること
- 原則として雇用保険の被保険者になること
- 過去3年以内に再就職手当の支給を受けていないこと
条件は多いですが、要点は「残日数が所定給付日数の3分の1以上ある」「就職先が安定的(1年超見込み)」「離職した会社への出戻りではない」の3点と覚えておけば、まず大きな勘違いはしません。
出典:ハローワーク再就職手当リーフレット(厚生労働省・公共職業安定所)
申請窓口と必要書類
申請窓口は、就職日までの失業認定を受けたハローワーク(住所地管轄)です。必要書類は次のとおりです。
- 再就職手当支給申請書(ハローワークで受領)
- 採用証明書(再就職先の事業主が記入)
- 雇用保険受給資格者証
採用証明書は、新しい勤務先の人事・総務部門に依頼して記入してもらう書類です。入社初日に依頼するのがスムーズです。
申請期限(【重要】就職日翌日から1ヶ月以内)
再就職手当でもっとも見落としやすいのが申請期限です。
就職日の翌日から1ヶ月以内にハローワークへ申請する必要があります。
ナビゲーター新しい職場に慣れるのに精一杯で、気づいたら1ヶ月過ぎていた…というケースが本当に多いです。就職が決まったら、その日のうちにカレンダーに「再就職手当 期限」と記入してください!
なお、1ヶ月の期限を過ぎても、就職日翌日から2年以内であれば時効としては申請可能な扱いになっています(受給資格自体は残る)。ただし、原則は1ヶ月以内とされているため、まずはこの期限を守る前提で動きましょう。
支給額(給付率)
支給額は次の計算式で算出します。
| 支給残日数 | 給付率 | 計算式 |
| 所定給付日数の3分の2以上 | 70% | 基本手当日額 × 残日数 × 70% |
| 所定給付日数の3分の1以上(3分の2未満) | 60% | 基本手当日額 × 残日数 × 60% |
たとえば所定給付日数が90日・基本手当日額5,000円の方が、残日数70日(=78%、3分の2以上)で再就職した場合、5,000円×70日×70%=24万5,000円が一時金として支給される計算です。
振込までの期間
申請後、ハローワークが新しい勤務先への確認を行うため、振込までは1〜2ヶ月程度かかるのが一般的です。
申請フロー④:高年齢求職者給付金のもらい方【65歳以上で離職した人向け】

65歳以上で離職した方は、失業手当(基本手当)ではなく高年齢求職者給付金という別の給付金が対象になります。一時金として一括支給されるのが特徴です。
対象者と【最低要件の重要事項】
対象は、65歳以上で離職した「高年齢被保険者」です。受給するには、最低要件を必ず満たす必要があります。
離職日以前1年間に通算6ヶ月以上の被保険者期間が必要です。
6ヶ月未満は受給できません。「65歳以上ならとりあえずもらえる」と誤解されがちですが、被保険者期間の最低要件をクリアしていない場合は対象外となります。
出典:厚生労働省「高年齢求職者給付金のご案内」(リーフレット)
申請窓口と必要書類
申請窓口は、住所地を管轄するハローワークです。失業手当の申請と同じです。必要書類も基本的に失業手当と同じ構成です。
- 離職票-1/離職票-2
- 個人番号確認書類/本人確認書類
- 写真2枚(縦約3cm×横約2.4cm)
- 本人名義の預金通帳/キャッシュカード
- 印鑑
申請タイミング(離職日から1年以内)
離職日の翌日から1年以内に求職の申込みを行い、失業の認定を受ける必要があります。一時金のため、失業手当のように4週間ごとの認定通いはありません。
支給額(一時金・一括支給)
支給額は被保険者期間で次のように分かれます。
| 被保険者期間 | 支給日数 |
| 6ヶ月以上 1年未満 | 基本手当日額 × 30日分 |
| 1年以上 | 基本手当日額 × 50日分 |
ナビゲーター6ヶ月以上と1年以上で、支給日数が20日分も変わります。離職のタイミングで損をしないよう、ご自身の被保険者期間を必ずチェックしておきましょう。
失業手当との違いの要点
65歳前後の退職タイミングで、特に注意したいポイントを整理しておきます。
- 64歳までに離職して失業手当の受給を開始すると、所定給付日数(一般の離職者は90〜330日/就職困難者は最大360日)にわたって継続給付が受けられる
- 65歳以降の離職は「高年齢求職者給付金」の対象になり、一時金(30日分または50日分)の支給に変わる
- 同じ給付率でも、合計受給額は失業手当のほうが大きくなるケースが多い
定年退職の前後で、退職日の選び方が受給額に大きく影響することもあります。会社の制度(再雇用・嘱託契約等)とあわせて、慎重に判断したい場面ですね。
申請フロー⑤:介護休業給付金のもらい方【家族の介護で休業する人向け】

5つ目は介護休業給付金です。家族の介護が必要になり、介護休業を取得した方を経済的に支える制度です。退職を前提とした給付ではなく、在職中の休業に対して支給される点が他の給付金と異なります。
対象者と対象家族の範囲
対象は、雇用保険の被保険者で、対象家族の介護のために休業した方です。対象家族の範囲は次のとおりです。
- 配偶者(事実婚を含む)
- 父母・子(養父母・養子を含む)
- 配偶者の父母
- 祖父母・兄弟姉妹・孫
受給の最低要件は、介護休業開始日以前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あることです。
申請窓口と必要書類
介護休業給付金の特徴は、事業主(会社)を経由してハローワークへ申請する点です。本人が直接ハローワークに出すのではなく、会社が手続きを行うのが原則です。
- 介護休業給付金支給申請書
- 休業開始時賃金月額証明書
- 賃金台帳・出勤簿(会社が用意)
- 対象家族の介護が必要であることを証明する書類(住民票記載事項証明書等)
申請タイミングと期限
介護休業終了後に、各介護休業終了日の翌日から起算して2ヶ月を経過する日の属する月の末日までに申請します。「終了日翌日から約2ヶ月以内」と覚えておけば、まず迷うことはありません。
支給額と支給日数
支給額の計算式は次のとおりです。
休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
つまり、休業開始時の賃金日額の67%が日額として支給される仕組みです。「手取りが67%に下がる」という意味ではないので、誤読しないようにしてください。給付率67%は2016年8月の制度改正で40%から引き上げられた数字です。
支給日数の上限は、対象家族1人につき通算93日です。3回まで分割取得が可能で、たとえば「最初に20日、次に30日、最後に43日」というように、介護の山場に合わせて使い分けられます。
退職ではなく「在職中の休業」である点の注意
介護休業給付金は、退職を前提としていません。退職してしまうと受給できない給付金です。
ナビゲーター「介護のために退職するしかない」と思い詰める前に、まず介護休業制度+給付金の併用を会社と相談してみてください。法律で定められた制度なので、会社は原則拒否できません。
【時系列タイムライン】退職1ヶ月前〜退職後1ヶ月、いつ何をする?

5つの給付金を理解したところで、次は「いつ・何をすべきか」を時系列で整理しておきましょう。自分の現在地(退職前/退職日/退職後1週間/1ヶ月)から、次の一手を逆算できる地図として使ってください。
| 時期 | やること | 対象給付金 |
| 退職1ヶ月前 | 就業規則の退職金規定確認、医師の意見書を準備(病気退職の場合)、住民票・写真の準備 | 全般 |
| 退職日 | 健康保険証の返却、退職証明書の受領、有給消化の確認 | 全般 |
| 退職後3日以内 | 健康保険の切替手続き検討(任意継続/国保/家族の扶養) | 傷病手当金の継続受給の前提 |
| 退職後10〜14日 | 離職票-1/離職票-2が会社から届く(届かない場合は会社へ確認) | 失業手当・高年齢求職者給付金 |
| 離職票到着後速やかに | ハローワークで求職の申込み+受給資格決定 | 失業手当・高年齢求職者給付金 |
| 手続き日から7日間 | 待期期間(全員共通) | 失業手当 |
| 待期終了後〜1ヶ月 | 給付制限期間(自己都合・2025年4月改正後) | 失業手当(自己都合のみ) |
| 最初の認定日 | 4週間ごとの失業認定日に失業状態を認定 | 失業手当 |
| 手続き日から約1〜2ヶ月 | 初回の基本手当が振込まれる | 失業手当 |
| 就職日翌日から1ヶ月以内 | 再就職手当の申請(残日数3分の1以上の場合) | 再就職手当 |
| 傷病手当金受給中 | 原則1ヶ月ごとに健保へ支給申請 | 傷病手当金 |
| 介護休業終了後2ヶ月以内 | 介護休業給付金の申請(事業主経由) | 介護休業給付金 |
離職票は、退職日の翌日から10日以内に会社がハローワークへ手続きすることが法律で定められています(雇用保険法)。本人へ届くのは退職後10〜14日後が一般的ですが、2週間経っても届かない場合は会社に確認してください。それでも動かない場合は、ハローワークに相談すると仮手続きを案内してもらえる場合があります。
ナビゲーター時系列で並べてみると、「次に何をするか」が見えやすくなりますよね。自分の現在地に合わせて、一つずつ確認していけば大丈夫です。
【必要書類マップ】誰から・いつ・どこに提出する?

退職給付金の申請でつまずきやすいのが、「書類が誰から届くのか・いつ届くのか・どこに出すのか」がバラバラに分かれている点です。1枚の表で動線を可視化しておきましょう。
| 書類名 | 誰から入手 | 入手タイミング | 提出先 | 対象給付金 |
| 離職票-1/離職票-2 | 退職した会社 | 退職後10〜14日 | ハローワーク | 失業手当・高年齢求職者給付金 |
| 退職証明書 | 退職した会社 | 退職時に依頼 | 健保組合等(必要に応じ) | 健保切替の前提 |
| 雇用保険被保険者証 | 入社時に会社から受領済※紛失時はハローワークで再発行 | 入社時/再発行は即日 | ハローワーク | 失業手当関連 |
| 健康保険傷病手当金支給申請書 | 協会けんぽ/健保組合の公式サイト | 随時ダウンロード可 | 協会けんぽ/健保組合 | 傷病手当金 |
| 医師の意見書(療養担当者記入欄) | 治療している医師 | 受診時に依頼(数日〜1週間) | 上記申請書に添付 | 傷病手当金 |
| 採用証明書 | 再就職先の事業主 | 就職時に依頼 | ハローワーク | 再就職手当 |
| 雇用保険受給資格者証 | ハローワーク | 初回手続き時に交付 | 認定日に持参 | 失業手当・再就職手当 |
| 介護休業給付金支給申請書 | 事業主(会社)経由でハローワークから入手 | 休業終了後 | 事業主経由でハローワーク | 介護休業給付金 |
| 個人番号確認書類 | 本人 | 事前準備 | 各窓口 | 全給付金共通 |
| 本人確認書類 | 本人 | 事前準備 | 各窓口 | 全給付金共通 |
| 本人名義の預金通帳/キャッシュカード | 本人 | 事前準備 | 各窓口 | 全給付金共通 |
| 写真2枚(縦約3cm×横約2.4cm) | 本人(写真店・証明写真機) | 事前準備 | ハローワーク | 失業手当・高年齢求職者給付金 |
この表を見ると、「自分で事前準備できるもの」「会社からもらうもの」「医師に依頼するもの」「ハローワーク・健保からもらうもの」の4種類に分かれているのがわかります。退職前から準備できる書類(写真・本人確認書類・通帳)は、早めに揃えておくと退職後の動きがラクになりますよ。
申請で失敗しやすいポイントと対処法

ここまでの申請フロー・タイムライン・書類マップを見ると、退職給付金の手続きは決して難しくないことがわかります。ただ、誰もがやってしまう”うっかり”もあります。代表的な5パターンと対処法をおさえておきましょう。
離職票が届かない/遅い
会社は「退職日の翌日から10日以内」にハローワークへ手続きする法的義務があります。退職後2週間経っても届かない場合の対処手順は次のとおりです。
退職した会社の人事・総務に「離職票はいつ届きますか?」と確認
会社が手続きしていない/遅延している場合は催促
それでも動かない場合は、住所地管轄のハローワークへ相談(仮手続きを案内してもらえる場合あり)
申請期限の見落とし
給付金ごとに申請期限が異なるため、横断的に整理しておきます。
- 再就職手当:就職日翌日から1ヶ月以内
- 傷病手当金:労務不能日ごとに翌日から2年(時効)
- 失業手当:離職日の翌日から1年以内に受給開始
- 高年齢求職者給付金:離職日の翌日から1年以内に求職申込
- 介護休業給付金:介護休業終了日翌日から2ヶ月を経過する日の属する月末まで
もっとも短いのが再就職手当の1ヶ月です。期限が短い順にカレンダーに記入しておくと、見落としを防げます。
受給期間延長申請の忘れ(病気・介護で働けない場合)
失業手当の受給期間は原則1年です。しかし、病気・ケガ・介護・出産等で30日以上働けない場合は、最大4年まで延長できる制度があります。これが「受給期間延長申請」です。
申請のタイミングは、「働けなくなった日の翌日から30日経過後」から「延長後の受給期間最終日」までと幅があります。傷病手当金から失業手当に切り替えるパターンの方は、特に意識しておきたい申請です。
併給できない給付金の組み合わせ
同時に受給できない組み合わせを把握しておきましょう。
- 傷病手当金 × 失業手当:同時受給不可(療養中は傷病手当金のみ)
- 高年齢求職者給付金 × 失業手当:65歳の離職タイミングで対象が切り替わる
- 再就職手当受給後の退職:条件によっては次の再就職時に再申請できないことがある
受給条件の誤解
もっともよくある誤解は、「退職したら誰でももらえる」という思い込みです。実際には、各給付金で「最低被保険者期間」などの要件があり、満たしていなければ対象外となります。
逆に、「自己都合は絶対もらえない」という誤解もよく見かけます。2025年4月改正で給付制限が原則1ヶ月に短縮されたため、自己都合でも約2ヶ月後には初回振込が始まるようになりました。古い情報のまま「自分は対象外」と決めつけてしまうのは、もったいないです。
ナビゲーター制度は数年単位で改正されています。検索で出てくる情報が改正前のものだったというケースもあるので、できる限り公式サイト(厚労省・ハローワーク・協会けんぽ)で最終確認しておくと安心です。
自分で申請するのが不安な場合の相談先

「ここまで読んで、これ全部自分でできるかな…」と感じた方もいるかもしれませんね。退職給付金の手続きは、転職活動や療養と並行して進めると、想像以上に負担が大きくなることがあります。
ここでは、「自分でやる/誰かに相談する」を判断する材料として、4つの相談先を中立的に整理しておきます。
相談先の4つの選択肢

| 相談先 | 向いている人 | 費用 | 注意点 |
| ハローワーク | 雇用保険関連の申請全般。まずここに相談する | 無料 | 時期によって待ち時間が長い |
| 社労士 | 傷病手当金・障害年金など複雑な手続き。会社との交渉がからむケース | 有料(5,000〜30,000円/件など) | 専門領域が分かれる |
| 社会保険給付金サポート会社 | 自分で動く時間・気力がない人。給付金の申請代行 | 有料(給付金額の10〜20%等) | 費用・評判は玉石混交。慎重な選定が必要 |
| FP(ファイナンシャルプランナー) | 給付金だけでなく、健康保険・年金・税金・家計全体を相談したい人 | サービスにより異なる(無料相談あり) | 金融商品販売目的のFPは避ける |
FP相談という選択肢を詳しく

退職後は、給付金だけでなく、健康保険の切替(任意継続/国保/家族の扶養)/国民年金の免除制度/住民税の納付方法/退職所得の確定申告など、考えるべきお金のテーマが複数同時に発生します。
「給付金だけ」を切り出して相談するより、退職後のお金全体を一度に整理したい人には、FP(ファイナンシャルプランナー)への相談が向いています。
私自身もFP2級・DCプランナー2級・宅建を保有していますが、お金の制度は「給付金単体」より「家計全体の流れ」で考えたほうが、結果的に取りこぼしが少なくなると感じています。退職後の生活設計を、プロと一緒に整理してみるのは、心理的にもラクになる方法です。
退職後のお金全体を、プロと一緒に整理するという選択肢
「強引な勧誘なし・何度でも無料・対面でじっくり相談したい」という方に向いているサービスとして、ファイナンシャルプランナーに相談があります。退職給付金の手続きを進めながら、退職後の家計全体(健康保険・年金・税金・運用)も同時に見直したい方には、最初の窓口として使いやすい選択肢です。
相談先を選ぶ判断軸
4つの相談先を、目的別に整理するとシンプルです。
- まずは無料・本家のハローワークで基本情報を押さえる
- 傷病手当金・障害年金など複雑な案件は社労士に依頼
- 自分で動く余裕がない方は給付金サポート会社を検討(費用・評判を慎重に確認)
- 退職後のお金全体を見渡したい方はFP相談
「自分のケースに当てはまる相談先がイメージできない…」という方は、まず一番ハードルの低いハローワーク窓口で、自分の状況を相談してみるのが最初の一歩としておすすめです。
退職時にもらえる主要10種類の給付金の全体像を見ておきたい方は、こちらの記事もどうぞ。

よくある質問(FAQ)
- 退職給付金と退職金は同じものですか?
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違います。退職金は会社から支給される”ボーナス”のような任意の制度で、退職給付金は国・健保組合などから支給される公的なセーフティネットです。会社の退職金規定(確定給付・確定拠出など)の仕組みは、別記事で詳しく解説しています。
- 自己都合退職でも失業手当はもらえますか?
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もらえます。被保険者期間(離職日以前2年間に通算12ヶ月以上)を満たしていれば、対象になります。2025年4月改正後は給付制限が原則1ヶ月に短縮されたので、自己都合でも比較的早く受給開始できます(5年以内に3回以上の自己都合退職がある場合は3ヶ月)。
- 退職後すぐに次の会社へ就職したら、失業手当は受け取れませんか?
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その場合は失業手当の対象外になりますが、代わりに「再就職手当」の対象になる可能性があります。失業手当の所定給付日数の3分の1以上を残しての再就職であれば、残日数の60〜70%が一時金として支給されます。
- 傷病手当金は退職後も受け取れますか?
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条件付きで受け取れます。「退職日までに継続して1年以上の被保険者期間(任意継続を除く)」があり、退職時点で傷病手当金を受給中(または受給条件を満たしている)場合に、退職後も継続受給できます。健康保険に1年以上加入していなかった方は、退職後の継続受給ができないため注意が必要です。
- 失業手当をもらいながら、アルバイトはできますか?
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条件付きで可能です。ただし、アルバイトをした日は認定日にハローワークで必ず申告する必要があります。申告しないと不正受給と扱われ、給付金の返還+ペナルティの対象になりますので、絶対に申告漏れがないようにしてください。
- 申請期限を過ぎたら、絶対に受け取れませんか?
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原則は受け取れません。ただし、再就職手当(1ヶ月以内)など短い期限のものは、就職日翌日から2年以内なら時効としては請求可能な扱いになっているケースもあります。離職票が届かない等、本人に責任のない事情がある場合はハローワークに相談する価値があります。いずれにしても期限内に動くのが鉄則です。
- 病気で療養中です。失業手当と傷病手当金、どちらを優先すべきですか?
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働けない状態の間は傷病手当金を優先してください。失業手当は「働ける状態」が受給条件のため、療養中は対象になりません。一方で、回復後にスムーズに失業手当へ切り替えるためには、療養中に必ず「受給期間延長申請」(最大4年まで延長可能)を済ませておきましょう。
退職金(会社から)と公的給付金の関係を、もう少し詳しく整理したい方はこちらをどうぞ。

まとめ|給付金ごとに申請フローは違う。自分の現在地から動き出そう
ここまで、退職給付金の申請フローを5つの給付金別に解説してきました。最後に、もっとも大切なポイントを整理しておきます。
- 退職給付金は、種類ごとに窓口・書類・タイミングがまったく違う
- 失業手当はハローワーク/傷病手当金は協会けんぽ/介護休業給付金は会社経由でハローワーク
- 2025年4月改正で、自己都合退職の給付制限が原則1ヶ月に短縮(5年以内3回以上は3ヶ月)
- 申請期限がもっとも短いのは再就職手当の1ヶ月。就職が決まったらすぐカレンダーに記入を
- 病気・介護で働けない場合は、失業手当の受給期間延長申請(最大4年)を忘れずに
記事の冒頭でお伝えしたとおり、退職給付金は「種類ごとに申請フローが違う」のが最大のポイントです。一見複雑に見えますが、時系列タイムラインと必要書類マップで自分の現在地を把握すれば、焦らず一つずつ動いていけます。
- 退職予定日を確定させ、就業規則の退職金規定を確認する
- 本人確認書類・写真・印鑑・通帳をひとまとめにしておく
- 病気・ケガで退職する方は、医師に意見書の依頼を相談する
- カレンダーに「離職票確認日」「再就職手当の期限」を記入しておく
「知っていれば受け取れるお金」を、しっかり受け取れるように。退職前後の不安は、情報を整理することでかなり軽くなります。退職給付金全体の地図を最初から見直したい方は、ピラー記事もあわせてご覧ください。

ナビゲーター焦らず、一つずつ確認していけば大丈夫です。退職後の生活は、公的制度で想像以上に支えられていますよ。あなたの次の一歩を、心から応援しています!

